2006年04月15日

仮眠時間と労働時間・賃金の関係

労働時間とは、「使用者の作業場の指揮命令下にある時間または使用者の明示または黙示の指示によりその業務に従事する時間」と定義されている。

では、
上の労働時間の定義を踏まえ、事業場内で「仮眠時間」がある場合の、その仮眠時間の取り扱いはどうすればよいのでしょうか?

例えば、介護の仕事の夜勤勤務。16時間(所定就業時間)で内3時間が休憩(仮眠)の所定労働時間13時間で、所定賃金とは別にこの夜勤勤務に対して夜勤手当として8000円支払っているケースで考えると、

休憩3時間を与えていますが、実際は「労働から解放されていることが保障」されている状態とは言えず、上記の考えに基づきこの3時間に対しても賃金、割増賃金の支払い義務が発生します。

これは、
不活動時間である仮眠時間が労働時間にあたらないためには、単に実労働に従事していないということだけではなく、労働からの解放が保障されていることを要する。つまり、仮眠時間中は、外出しようと施設内にいようと労働者の自由とし、完全に労働から解放されていることが保障されている場合のみに、休憩時間に該当し、労働時間としなくてもよいわけです。

恥ずかしい話、“労働から解放されていることが保障されている場合のみに、休憩時間に該当し、労働時間としなくてもよい”という前提条件のところがスッポリ抜けており、
単純に3時間休憩を与えているのだから、これを労働時間としてカウントする必要なしと大きな勘違いをしていました。

ほんと、ここは基本中の基本の部分でスヨネ。(照)

3時間の仮眠休憩中に実労働があった判断される際の“労基法上の労働時間と賃金”の関係を、以下の「大星ビル管理事件」での判例で明確に示されています。

「所定労働時間外のある時間が労基法上の労働時間とされても、そこから当

然に労働契約上の賃金請求権が発生するわけでなく、賃金

請求権の有無・内容は当該労働契約の解釈によって定まる。判例も同様に解

釈しており、深夜の仮眠時間に対応する賃金について、労働契約が労働と賃

金の対価関係である以上、仮眠時間につき就業規則等に明確な賃金支払規定

がないからといって、直ちに賃金不払いの合意があるとはいえないが、賃金

規定に別途、泊り勤務手当を支給すると規定があることを重視して、労働契

約上の賃金請求権を否定している。ただし、この場合には労基法

37条の割り増し賃金の不払いが生じるため、使用者は同13条に基づいて

割増賃金の支払い義務を負う
ことになり、時間外・深夜およびそれ

に対応する割り増し賃金額の算定が必要となる。」

これは、全仮眠時間に対し割り増し賃金(1.25倍)の支給を求める労働者の主張が認められず、
本件の事実関係では、1.0部分(通常賃金)は泊り勤務手当として支払い済みであり、仮眠時間に対する0.25の支払い(37条による割り増し賃金)で足りるとしたものでした。

先ほどの介護の夜勤勤務で考えると、
休憩3時間に実労働が入った場合は、夜勤手当を支払っていれば、その休憩時間3時間分の深夜割増を支給してれば法律的には問題ないということです。

ということであれば、夜勤に入る場合、休憩・仮眠時間に急にお客様からのコールで仕事が入りケースも多いので、あらかじめ休憩3時間分を労働時間として考え、その深夜割増分を夜勤手当の中に算入しておけば全く問題が生じないことになります。(夜勤手当の計算根拠、3時間の内1時間は休憩を必ず取り、残りの2時間を実働したものと見なしあらかじめ深夜割増として
計算、夜勤手当に算入する云々と就業規則に定めておく。)


ここらへんの考え方、問題処理方法等が労基法上の労働時間の難しさであり、面白さでもあります。
1年単位の変形労働時間、1ッ月単位の変形労働時間、裁量労働制、事業外労働のみなしを含めて、労働時間制の導入・運営と賃金との関係のコンサルティングだけでも、十分企業ニーズがあるのではと思うのですが、皆さんはどのように考えられますか?



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posted by 人事屋ジンベイ at 13:37| Comment(1) | TrackBack(2) | 労働法務 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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